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【SBT】第1回SBT正解 Sample E

タケモトカツヒコ
タケモトカツヒコ

 


 

第一回ストイック・ブラインド・テイスティング、主催のT.M.さん、本当に楽しい企画ありがとうございました!

私からの出題Eボトル、ブラインドコメントはこちら

解答は

グレンエイボン(グレンファークラス) Glen Avon 1959/2000 (40%, G&M) LMdW

でした。

グレンエイボンは、ファークラスとマッカラン(セスタンテ角瓶など)がありますが、本ボトルのリリース時期を考えると、マッカランはスペイモルトとして分化されており、ファークラスで間違いなさそうです。

頂いたスコアは90-85-93-90-92-80-90-86-85-90で、平均88.1pts。

出題趣旨としては、相当悩んだんですが、蒸留年的に50年代を出させていただきたかったことと、加水を選択することで、いかにも私が出したんだということを避けたかったという気持ちがありました。(しかしT.M.さんにはズバリ見抜かれてしまっており、目論見は外れてしまったわけですが。。。)

またボトル自体としては、1958蒸溜のエイボンは2007年詰めでわりと見かけますが、2000年に詰まった本ボトルは今やあまり見かけることがありません。いわゆるG&Mシェリー、G&M加水という観点からも、ちょっと違う感じがありまして、同社のよく(私も含め)感想を聞く、マイナス要素が限りなく少なく思っていました。

フランスのメゾンから購入したのですが、メゾン向けの特別仕様であったかどうかははっきりしません。スムーズで、なおかつヴァッティングの複雑さを兼ね備えているために味わいの奥が深く、それが表面上絶妙な加水で上手くまとめられていると感じていました。若干メゾン向けの50年代グラントにも共通した「スミレ」感もあるのかなといったところ。


この点、ゴブリンさんから「ここまで前半と後半で味が変化するモルトは経験がない」とのコメントを頂いて、私もボトラーだからこその少数樽によるヴァッティングの面白さが魅力のひとつでしたので、ありがたく思いました。


ガースーさんのコメントでは、もうちょっと重さがあったらという部分、確かにそう思います。たしかに度数もありますが、それだけではない重さといいますか、飲んだ後の満足感が軽井沢などにはあって、それが同じ濃厚シェリーでも違うんだなと。


あだもさんにはピートをご指摘いただいて、私もこのボトルには、ほんのり上質なピート感があって、それが唯一といっていいほど50年代蒸溜なんだなと思わせる点だと思っていました。マッカランでも60年代前半までは、口の中に残る余韻のなかに、これと似たフレーバーがあるなぁと思います。


本会でも冴え渡るくりりんさんは、予想蒸溜所:グレンファークラス、グレングラントということで、またも見事正解。従来のくりりんさんのスコアからすると93はかなりの高得点だと思われ、一方通常のG&Mシェリーには苦手が多いことを存じ上げていましたので、今回のボトルが気に入ってもらえて何よりでした。


T.M.さんには、私の好むイタリアンボトラーとの共通項をしっかり指摘いただいて(おそらくヴァッティングの面白さだと思います)、高評価92pts。蒸溜所も非常に近いラインで解答頂きましたが、なにより出題者当てにはズバリ食い込まれて、コメント発表の際焦った次第。


2chの人さんは、香りの部分でかなり好みでおられたところ、中盤以降で「植物」っぽさが苦手とのご指摘で、たしかに長熟独特の過熟味はあったかなと。そして、蒸溜所のみならず熟成年数のご指摘が鋭いと思いました。


射命丸さんは、おそらくブレンデッドではないかというご指摘で、やはりヴァッティングという部分では、従来モルトナイト等で出させていただいた2,3樽のヴァッティングよりも樽数が多く、またかなり香味に相当ブレがあるものを加水でまとめたあたりが、たしかにブレンデッドというぐらいのニュアンスだったかなと思いました。度数的にも40度ですので、ブレンデッドがよく出すあたりのアルコール感でした。


あつしさんにはトロピカルフルーツ的というコメントを頂きました。たしかにラベルを見てファークラスイメージがあると、トロピカルというスタイルを避けて使うかもしれないなと。ロングモーンにもあった赤みがかったトロピカルさは確かに出ていると思います。かなりコニャック寄りですよね。


T/Dさんからは山崎かもというコメントをいただいて、しかも80年代蒸溜の山崎。たしかにオーナーズカスクでこういうニュアンスのものがよくあり、90年代半ば蒸溜の絵里香さんボトルでも、感じた香木、干しぶどう系の香味がたしかにあったなと思いました。


hiroさんからは、スペイサイドの王道だと、グレンリベットだというコメントをいただいて、たしかにエイボンにリベット説があるのも頷けると思いました。シェリー感が王道まっただ中で、後味に香木やスミレ、さらにはミント的な植物感が乗る感じ、ライオンリベットには顕著にみられた魅力だと思っています。

こう考えると、トロピカルでもあり、干しぶどう、香木系、スミレ系と、かなり香味に幅のあるヴァッティングを加水40%で、引き出されたのか、押さえつけたのか、なかなか加水も面白いなと。


今回のような小瓶分けのブラインドテイスティングでは、より時間をかけてテイスティングコメントを寄せていただけるので、非常に勉強になりました。自分がラベルを見て飲むと、敢えて過去の同蒸溜所のボトルを考えて、こういうコメントはしないかもと思われるものがあり、それがハウススタイルを捉えるという点での主観になっているのだなぁと。

今後もぜひ継続して参加させていただくことで、より深くウイスキーティスティングを学びたいと思います。よろしくお願いいたします!