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グレンロッシー Glenlossie 17yo 1973/1990 (40%, Sestante, Antica Casa Marchesi Spinola, Collection no.1, Btl no.935)

タケモトカツヒコ
タケモトカツヒコ

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タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】BAR飲みのため非公開


【ファースト】:レザー  カスタード(+)  プリン  焦がし砂糖  時間と共にレーズンバター(+)  ラズベリー

【ミドル】:ボディは広がる印象 種なし葡萄 干した麦 湿った木材

【フィニッシュ】:返り優先 黒砂糖  度数以上に濃厚で、存在感がある  余韻長い


Antica Casa Marchesi Spinola。グレンロッシー1973。

本ボトルもCollection no.1 表記であることから、蒸溜所ごとにナンバーを割り当てようとしていた様子が伺えます。40度の加水で、ボトルナンバーも935と、リリース本数も多めです。

グレンロッシーといえば、ヘイグのメインモルトであり、セスタンテは1988年にも、「Glenlossie 16yo 1972 (57.7%, Sestante, White Label with Green Letters, 75cl) c1988」をリリースしています。

ヘイグの70-80年代ボトルで確かに感じられる”クリーミー”な印象が、より輪郭を太くして目の前に迫ってくるように感じます。

やはり80年代後半-90年代初旬のセスタンテは”主要ブレンデッドにおける単一蒸溜所原酒の役割”を理解させるといいますか、それらを根底においた、「意識的な」リリースを行っていたことが、何よりの魅力でしょう。

サマローリはむしろ、従来のブレンデッドでは感じ取れなかった、単一蒸溜所原酒の魅力そのものに主眼を置いて、自ら高品質な樽の選抜を行ったボトラーと言えると思います。

インタートレードは、透明度が高く、純粋性を捉えたリリースが目立ちますね。


余談ですが、近年のリリース状況を考えると、ボトラー毎の個性やスタイル・方向性が語られることは稀のような気がします。。。

ボトラー間での樽のシェア、争奪のパワーバランスに「飲み手」が翻弄される構図というものが出来つつある気がしてなりません。

直近で評価の高かった蒸溜年樽を、有力ネゴシアンが次々に掘り尽くし、周辺ボトラーが群がる

しかもそれらを貯蔵することなく、すぐに掃き出し、短期の利回りと回収を優先しているように見えます。

特にトマーチン、キャパドニック、ロッホサイドは、1,2年前なら面白かったでしょうが、現段階で大して代わり映えのないリリースを重ねているとしか思えず、そんなことよりも将来に向けて熟成年数を刻むことを優先するべきなのではないかと考えます。


ウイスキーは複雑。だから面白い。

多くの人が認めるウイスキーに対する評価だと思いますが、これは言い換えれば、分かりきった内容、二番煎じでは面白みに欠けるとも言えなくはありません。

ウイスキーの魅力にそういう要素があるからこそ、飲み手もこだわるようになれば、オフィシャルスタンダードだけでは満足できなくなり、そこで初めてボトラーの存在意義が出てくるはずです。

美味いかマズいか、ただそれだけじゃないないから面白い。何かもっと奥から訴えかけてくるものがあるから楽しい。ありふれてしまえば面白くないのです。

まだ陽の目を見ない魅力的な樽探しを行ない、飲み手に紹介することが、ボトラー本来の役目、バーテンダーのセンスだと信じたいものです。


【参考】

ミルトンダフ Miltonduff 23yo 1966/1990 (61.4%, Sestante, ANTICA CASA MARCHESI SPINOLA selection no.1, Sherry, 75cl) Btl no.339