タケモトカツヒコ (プロフィール)
【スコア】 BAR飲みのため非公開
【ファースト】:ディスクは厚いが、香りにオイリーさはそれほど感じない 透明な水分層 ワクシーなフルーティさ 種なしブドウの酸味+渋み 甘みのあるグレープフルーツ 香りのみ取り出せば60年代中期のボウモアのニュアンスがある
【ミドル】:ブドウの酸味 渋みのある土っぽさ 45分後には干した麦感に ボディは段階的に膨らむ シロップコーティング 糖分豊富
【フィニッシュ】:返り優先 丸みがある 黄色いイメージ 余韻にも種なしブドウのジュース~ワクシーで糖分豊富なグレープフルーツ(パイナップルとはまた違う) グレープフルーツの砂糖がけ 最終的にオイリーな部分は水分を奪う層へと変化する
ベンリアック1976 OB C#3032。
香りだけ取り出すと、とてもワクシーで、その方向性はボウモアの1960年代蒸溜、30年オーバーの長熟を思い起こさせるニュアンスがあります。ビリー・ウォーカーの目指す所がここにあるのか、それとも60年代後期蒸溜の透明感のある個性的な「白桃」フレーバーにあるのか。。。
いわゆる精油手前の、果実的エステルが過熟したように受け取れるギリギリのラインの香りで、ワクシーさがここまで出たベンリアックも従来なかったかもしれません。
2008,2009年詰めのOBやLMdW向けの76蒸溜は50度を超えていて、ボディも図太く香ばしく麦麦しい感覚があったのですが、本樽は(ボディにおいて)度数の高そうな部分と、角が丸い部分が、表面のオイリーな層によって周囲を覆われていて、中心部分に押し込まれ内包されている印象があります。
このオイリーな層は、同席したN氏がステイした約45分経過後のグラスでは感じられず、やや角の丸い「干した麦」のニュアンスを持ったボディが残っていました。時間の経過でその分離度合いが高まることを考えれば、バランスが崩れる前、開栓から早期に飲んだほうが楽しめるボトルと言えるかもしれません。
それにしても、せっかくなら本ボトルの香りをそのままに、ボディ部分に70年代(特に前半)ロングモーンの持つ密度の高い凝縮された果実感と、でんぷん質豊富な麦のフレーバーがあって、なおかつフィニッシュで完熟マンゴーが返ってくるようなボトリングが出来たら、まさしく伝説級の1本になるでしょう。(ボウモア 1967 OB フルプルーフのようなイメージです。でもマリッジさせる樽には苦労しそうです。)
オーナー交代によって厳しいのかもしれませんが、白~黄色の果実感を持つベンリアックと、赤みのある果実を思わせるロングモーンが融合したら、ウイスキーの歴史に残る(兄弟)ヴァッティング。
本ベンリアックで言えば、クレイゲラヒもマッチングしそうです。甘さが果実シロップ・ジュース系だけでなく、パリッと割れそうな固さを持った「金平糖」のような結晶を思わせる部分も加わったとしたら。。。
想像に明け暮れるだけなのも寂しいので、ハイボールで試してみることにしようと思います。