ロングモーン Longmorn-Glenlivet 1966/1985 (57%, Brae Dean Int. for Moon Import, sherry wood)

 


タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】 98 pts


【ファースト】:濃い琥珀 高貴 据えている イチゴジャム(++) 杏 プルーン いちじくの丸煮(+) 赤みのある桃(++) オレンジ(+) 時間とともに奥からパイナップル(黄色みのある果実っぽさ) 軽く燻製感 土っぽさ しっかりとしたミントの葉(+) ハッカ飴 

【ミドル】:厚みのあるシェリーの層の奥に、芯がしっかりした麦質(焦げてはいない、硬さがある)(++) 赤みがしっかりしたブドウ(巨峰系)(++) やや据えて落ち着いている 月桂樹の葉 緑の要素も(++) シェリー層の落ち着きとは反対に、ボディの力強さが若々しい 重さもある このミドルは素晴らしい

【フィニッシュ】:しっかりスパイシー 唐辛子 黒胡椒 ピリピリ+ミントの葉 メントール 返り、鼻抜けとも力強い 甘さのベタつきがないが濃厚なシェリー層 余韻で巨峰~オレンジ~赤い桃(+++) クリーミーには相当の時間が経たないと移行しない 若い 辛い 切れ上がる この余韻とシェリー樽の感覚がスプリングバンクの1963、1964OBに共通の要素を連想させる 終始、若く高貴


Longmorn-Glenlivet 1966/1985 (57%, Brae Dean Int. for Moon Import, sherry wood)

Moon Importというと、1970年代後期には(ウイスキー)オフィシャルボトルのインポーターとして登場し、ブルイックラディの10年では特別仕様のハイプルーフをリリースしたことでも有名な企業ですが、一方でA. CamutやMarcel Blinなどのレアレンジ・カルバドス、ラムやアルマニャックを詰めていたことでも知られています。

シングルモルトウイスキーの独自ボトリングでは、ほぼ全てがエジンバラの「Brae Dean Int (International)」から樽供給されたという形を採っていて、G&MやCadenhead’sから供給を受けた他の有名ボトラーとも一線を画しており、存在価値が高まっています。


小規模ボトラー/インポーターが、ハイプルーフかつ数樽ヴァッティングで独自性を歩む80年代半ばには、歩調を合わせるように、1stコレクション、2ndコレクションと貴重なボトリングを行いました。

しかし幸か不幸か、それ以降(80年台後半には早々にして)46%の加水リリースが殆どとなってしまいます。

Glen Grant-Glenlivet 14yo 55% 1st collection
Glen Moray 22yo 58% 1st collection
Glenlivet 19yo 55% 1st collection
Macallan Glenlivet 14yo 59% 1st collection
Tamnavulin 18yo 58% 1st collection
Glenlivet 1969 53% 2nd collection
Dufftown 1969 57% 2nd collection
Longmorn 1966 57% 2nd collection
Macallan Glenlivet 1970 57% 2nd collection
Milton Duff 1965 57% 2nd collection
Glen Grant 1970 57% 2nd collection

特にこの1st、2ndエディションにMoonの有名どころは集約しているように思います。


90年代後半にも、

Blair Athol 21yo 57% Sherry Cars collection
Dufftown 21yo 57% Sherry Cars collection
Inchgower 18yo 59% Sherry Cars collection
Glen Garioch 1966 52% Horae Solaris” collection

のようなリリースがありました。(他にも50度台前半のリリースは少々あると思います)

また、90年代末期、サマローリのドリームスシリーズにて樽供給を行ったのがMoonでした。


1本を通して飲んでみて、とにかく分かりやすい部分と、他のボトルと比較することで魅力が増すような、やや経験者向けとも言うべきマニアックな部分を兼ね備えたボトルだと感じました。

ロングモーンも大半独立瓶詰め業者のリリースで、その中身を知ることが出来る蒸溜所でありますが、中でもしっかりとしたシェリー樽熟成でフルプルーフ以上の度数、さらに20年以下の短期熟成というともう、このボトルとアンティカぐらいしかなく、存在自体が貴重で、ムーンとセスタンテにはありがとうと感謝を述べるしかありません。

とはいえ、シェリー由来のニュアンスはこの2つのボトルでも大きく違います。

本ボトルはまさしく、スプリングバンク的シェリー。重さがありつつ中身を潰さない素晴らしいシェリー樽です。

その分若さが引き立って、ボディの芯が硬くて微動だにしない背筋力を感じる一方、スパイシーで辛さも目立つ印象。ややここの部分で減点しましたが、もはや些細なことでしか無く、ミント、メントールといった、他の多数のロングモーンでは目立つことがなかった個性も際立って、巨峰のような高貴なブドウ、赤みのある桃、当たりのマッカランにもあるオレンジ、それらすべての果実的要素が秀逸に融合されています。

G&Mにもケイデンにもなかった魅力が詰まった、むしろそれまで味わったことがない新鮮味をもって迎えられる1本。素晴らしいです。


【参考】ブラインド・テイスティング

開催場所 2012/2/11 芝公園パークタワー東京

*テイスター参加の皆様におかれましては、なにぶん手書きのスコアリングシートでありましたので、追記、修正点ございましたらご遠慮なくコメント欄にてご連絡をお願い申し上げます。

【salsasevenさん】【本ボトルを当会No.1評価】【ブラインド当たり1/1】→香りに特徴 甘いがべったりしていない 清々しい 上品 色で言えば赤 ランシオ 途中から香りに麦 アフターは短くドライ 長熟だから? 【ロングモーン

【ゴブリンさん】【ブラインド当たり1/1】→ブランデーのような香り 干したブドウ 古い蔵の臭い 熟成感があるが、奥からプルーンのような甘み 時間が経つと草も【ロングモーン

【へたれさん】【ブラインド当たり1/2】→美味しそうなシェリーの香り ややヒネ香 甘すぎず上品なシェリー 【グレングラントロングモーン

【2chの人さん】【ブラインド当たり1/3】→最初は甘い香り イチゴジャム 酒質は良い 加水?飲みやすい【マッカラン グレンゴイン ロングモーン

【あかめさん】→ブランデーっぽい香り 綺麗な渋み ウッディ 砂糖 1960年代 【ドロナック

【Yuuさん(女性)】→香り:炭 サルビア ツツジ カステラ 焦がし砂糖 味:シシトウ 辛い まろやかに鼻にくる プリン

【newyugoさん】→ベリー 杏 熟した巨峰 ブランデーのよう 少しウッディ 鼻に抜ける 素晴らしいブドウ 度数は50度後半? 時間が経つとザラメ 【スプリングバンク?】

【ryutani@shameimaruさん】→アルコール強め 最初甘いが後でドライ フィニッシュビター 麦有り 少しミント 香りは少しスモーキーというか埃というか?明らかにシェリー、 味は最初甘い、その後ドライ、ビター、明らかにシェリー、長熟  【8】【マッカラン ドロナック

【k67さん】→くどくないシェリー香がいい 味はボディがあまり強くなく トップアタックは強い 少しひねたような塩辛さ【マッカラン

【くりりんさん】→ベリー系の香り 白玉 和菓子 ツヤのある甘さ 微かにスモーク 焼いたパン バランスもいい シェリーで非常に綺麗 余韻も良い 【1972ドロナック

【kssiさん】→アロマ シェリー 鼻抜け強い イチゴジャムもある 度数高そう【グレングラント マッカラン

【フーミンさん】→一般受けしそう【マッカラン

【タケモト】【出題者】→赤みのあるシェリー 思ったよりも渋みがある

【参考:Malt Maniacs】92

Longmorn 19yo 1966/1985 (57%, Moon Import 2nd Collection, 800 Bts, 75cl) 1985 Moon 87 – 93 92 – 93 – – – – – – – – – – 94 –