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【もし今から飲み始めるならー1】美味しいウイスキーの分類 250405


もし「今から」ウイスキーを飲み始めるとしたら、どのような順番で飲み進めるのが理想でしょうか?

必ず書きたいと思っていた内容ですが、かなり悩みました。

その結果、「あくまで自分の経験から、総合的に美味しいウイスキーをまとめたり、分類を併記する」という方向性ならば、書くこともできるのかなと思うようになりました。

もちろん公開前提なので、参考にしていただけたらという気持ちで挑むつもりなのですが、幾分にも主観的な要素が強くなり、香味の好みも自らの嗜好が前提になってしまいそうです。

しかしながら、正解はないという姿勢ではなく、正解は複数ある、そのひとつをまとめてみたいです。


【ウイスキーを初めて飲む】
【クラガンモアOB伝説】

いつの時代も語られる、代表的な問題です。初めてウイスキーを飲む人にどんなボトルを勧めるべきか?

今現在でも一部に「クラガンモア」のオフィシャルスタンダードを勧める風潮が残っていますが、私個人的には、これは無難中の無難というのか、ウイスキーに対して「嫌な思い」をさせないための策のように思います。

無難である代わりに、クラガンモアのオフィシャルスタンダードが最初の1杯から本当に美味しい、今後も飲んでいきたいと思う人がどの程度いるのかと想像すると、どちらかというと蒸留所の個性が淡いので、むしろウイスキーへの経験値が高い人のほうが「良さ」を認めやすいのではないかという印象があります。

いわゆるオーセンティックBAR発の風潮なのかなと想像するところで、手間はかかるものの利益率の高い(杯数を稼ぎやすい)カクテルの立ち位置を考えても、「全面的にウイスキーに移行させたい」という考えで勧めているわけでもない感じがします。

自分の場合、もちろんウイスキーを好きになってもらって、出来ることならばウイスキー中心にお酒を見てもらえるようになったらという気持ちがありますので、「無難」で嫌な思いをさせないという観点よりは、「いままで想像していたよりも、かなり美味しい」と最初から思ってもらいたいという風に考えてしまいます。

そのとき薦める側の人間(ウイスキーの推奨者側)が、従来飲んで来たボトルの中から、わかりやすくて本当に美味しいと思うものを「熱をもって」薦めるのが、一番いいのでしょう。


【ウイスキーを初めて飲む】
【理想的なウイスキーをどう捉えるか】

なるべく分かりやすく、ウイスキーの良さを理解してもらうために説明をするとしたら、自分なら(やや恥ずかしい気もしますが)こう伝えようと思います。

香りや味=雰囲気、オーラ
ボディ=(酒としての)芯
アルコール度数=力強さ(パワー)

各要素がどのようにバランスされているか、どのような状態・質感かで、ウイスキーの良さが決まると。

どれかが突出しすぎていてはマイナスな場合もありますし、逆に個性として受け止められる場合もありますが、あくまでウイスキーとして「典型的な理想像」を言うならば、全体として、

香味豊かで、一本芯が通り、飲み手に力強く迫ってくるウイスキー

こそ「理想」「王道」であると伝えたいと思います。当初はむしろ「香味・ボディ・度数」の3点バランスのみに着目して、ボトルごとの比較をしていくのが、混乱を招くことなく楽しめるのではないでしょうか。


【ウイスキーを初めて飲む】
【ウイスキーでなければいけない理由】

各種ブランデーや、ジン、ラム、ウォッカ、リキュールなどの蒸留酒の中で、ことさらウイスキーでなければ「味わえない」部分は何なのかと考えると、「力強さと厚み、複雑な香味が両立していること」だと思います。

他の蒸留酒の多くが40度台のアルコール度数で、香りは豊か、でもボディや嚥下してからの余韻については決して強くない。。。

わかりやすく言うと「迫力」という事になるのだと思いますが、(モルト)ウイスキーはアルコール度数40%~60%、原料の大麦から得られる豊富なでんぷん質が、複雑な香味、厚みを作り出しています。

度数比較で言えば、ラムやウォッカ、リキュールでも70度台、90度台のものが市販化されていますが、やはり度数だけでは、厚みや複雑さといった部分は、十分ではありません

ただ、どうしても自分にとってはウイスキーが至高ということにはなるのですが、逆にウイスキーが持っていない魅力が他の蒸留酒にあることも事実です。特にコニャック、混成酒ですが薬草系のリキュールには、迫力という部分を求めずに、香味や陶酔感に圧倒されることが度々あります。

とはいえ、(簡単にまとめると)やはりウイスキーを飲むならば、他のお酒にはない「迫力」を知ってもらいたいと思ってしまいます。


【ウイスキーを初めて飲む】
【ボトル選び-1】

ウイスキーに求める要素はたくさんあると思いますが、間違いないのは「美味しい方がいい」ということだと思います。そこに値段が絡むのが難点ですが、これは「最高のウイスキーと最高に美味しいウイスキーの違い」で書かせていただいたところです。

また、必ずしも度数だけが迫力を決めるわけではないのですが、飲む量、ワンショットの量は迫力を堪能するには大きく影響してきます1回に嚥下する量が十分であって、それが複数回数こなせることもそうですし、グラスの中で揮発劣化するスピードが、量が少ないほど速くなってしまいます

ですので「最初の1杯」であっても、やはり30ML、少なくても20MLは1種類のボトルにかけて欲しいです。

もちろん最初からボトルを抱えるということも、素敵なことです。

ただ、ショットであってもボトルであっても、最初から「ウイスキーってこんな(この程度の)ものか」と思われると、それまでになってしまいます。別項で解説させていただいている「報酬系の報酬予測誤差」、いわゆる期待はずれです。これはもう生体システム上、どうしようも今後の意欲につながらない話になってしまいます。

難しいのがその「程度」です。どの程度美味しいのがいいのか。悩みどころです。

自分にとって最初に「ウイスキーは凄い」と思わせてくれたのが、マッカランのオフィシャル12年でした。1994年頃の話です。それまで、何度かウイスキーは飲んだことがありました。コンビニで売っていたニッカの廉価な何か(透明ダンピー瓶でおそらくピュアモルト)とジャックダニエルで、どちらも美味しいとは思えませんでした。

そもそも飲むきっかけは、自分の好きな海外バンドの人たちが、特に後者のジャックダニエルを愛飲していたからです。ベースの人はそのボトルの形で楽器を作ってもらっていて、そんなに美味しいのかと思って飲んでみたという事でした。少々訓練しなくてはと何度かトライしましたが、やっぱり駄目。

そういえば、そのバーボン(正確にはテネシーウイスキー)の前に、何やら銘柄はわかりませんが、スコッチウイスキーの水割りを飲んだことがありました。飲んだというより一口つけただけです。もうこれも化粧っぽいというのか蝋(ロウ)っぽいというのか、全く受け付けることが出来ずに終わりました。ボウモアのパヒュとかそういう感じではなく、ブレンデッドのシーバスリーガルのような感じでした。

海外の人とは体質が違う習慣が違うと、お酒といえばビール、日本酒、せいぜいカクテル。そんな思い出があったので、しばらくウイスキーを飲もうという気持ちは起こりませんでした

自分のような酒好きというのか、酒への好奇心がことさら強い人間(親類が酒販会社を経営しています)ならともかく、普通、多くの人はそこでもうウイスキーなんて今後飲もうとは思わずに延々時間が過ぎてしまうかもしれません。一生のうちで全く出会わない、飲んだけど駄目だったという記憶があれば尚更だと思います。

思い返してみても、本当にウイスキーの多様性というのか、種類の多さは今でこそ魅力に感じますが、最初の段階では敷居が高いです。そこそこ飲んでいけば受け入れられるようにもなるのですが、種類が多い分、最初に飲むにあたっては当たり外れが多い。。。他の蒸留酒で一般にどこにでも売られているものなら、廉価であってもここまで大きく中身に差があるということもないでしょう。

それだけに最初の1杯が果たす意義は大きいです。自分なら、こういった経験から、本当にベストを尽くしたいと思います。


つづく(次回はちゃんと具体的なボトルを。。。)