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山崎 Yamazaki 1986/2009 ‘Owner’s Cask’ (51%, OB, for Bic Shuhan, Mizunara oak, cask #6B0021)

【スコア】93pt
【開栓後】??
【残量】20%

【香り】
酸味を帯びた過熟のキウイやプラムを思わせるネットリとしたエステル香が全面に出ている。缶詰の黄桃。バニラ。小豆の煮汁を思わせる粉っぽいニュアンス。クローブ。薄っすらと腐葉土の香り。香木感はあるが,さほど強くない。全体としてはふくよかで色っぽい印象。

【味わい】
香りと同様に濃厚なエステル感でネットリ,トロリとしている。ここでも酸味が感じられるが,丸みを帯びていて嫌味がなく心地良い。思いのほか柑橘系フルーティな印象で,よくできたバーボンカスクのよう。レモングミ。蜂蜜やフレッシュないちじく。甘みと酸味がしっかりしている。舌に残るタンニンの余韻が強すぎず弱すぎず心地良い。透明感がある。

【総評】
ミズナラから連想する香木感よりも,エステリーな完熟フルーツ(南国系ではない)感と酸味が濃厚に迫ってくるのが印象的。やはりミズナラはカスクがいいですね。所有者のkotoraさん曰く「どんどん味が変わっていった」とのことだったので,このテイスティングノートはあくまでこのカスクの一面でしかないのかもしれません。
さて,山崎のミズナラと言えば,想起するのは「伽羅香」というフレーズではないでしょうか。オフィシャルでも「伽羅を感じるオリエンタルな香味」と表現されることが多いですね。しかし,個人的にはミズナラの香木感はいわゆる「伽羅」の香りではない,いわばイメージとしての伽羅であって,香りとして実際に伽羅を彷彿とさせる香がするかといえば違うのではないか,少なくとも私が過去経験した伽羅の香りとは異なる,そんな風に感じています。
話はそれますが,テイスティングノートの表現は万人で共有できるものであるのが理想ではあるものの,個人の経験値がベースとなる以上表現に幅がでるのはしょうがありませんし,それが刺激になると言ってもいいでしょう。しかし,自分の素直な感想であることはとても大事なことだと思っています。その意味では,ミズナラを伽羅と表現するにあたっては伽羅の香りを経験していることが前提にないと成り立たないと思うわけですが,一方,伽羅の香りを知ってる人はほとんどいないのではないか(あえて興味を持たなければ接する機会ありませんしね),にも関わらずミズナラ=伽羅というイメージが強いのは不思議なことだと思います。