グレンブローラ Glen Brora (40%, Carradale Blending Co., M. DI CHIANO- MILANO)

タケモトカツヒコ


タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】 91 pts


【ファースト】 : やや濃い琥珀 明らかにシェリー樽の影響が強い 据えた麦感豊富 蜂蜜 燻製(+) 焦げた杏 軽く胡麻油 レーズン ブルーベリー 甘草 生姜も シナモンスティック 時間の経過と共に麦がクリーミーに ミルクチョコレート マーガレット

【ミドル】: ボディはさすがに加水のせいか、輪郭は緩いものの、しっかりと膨らむ 麦 煙 燻製 粘性がある ややベタつく 

【フィニッシュ】: 返り優先 しっかりとした返り マーガレットの花のよう 鼻抜けもしっかりしている 唐辛子 生姜 カイワレ大根 余韻は粘性から瑞々しさが前面に 焦げた麦 据えた杏 


9月のMalt Night 5thで、ゴブリン・インポートから入手。ブローラとの比較テイスティングをしましたが、その後の調査の結果、Ainslie & Heilbron社(エインズリー&フェイルブロン)の手によるブレンデットである事がわかりました。

しかしCarradaleはキャンベルタウンの地名。(スコシアに所在していた模様)

瓶詰めは1970年代初頭。

一方Glen Broraは「ブローラ峡谷」の意と思われ、サーモンで有名で豊かな水量を誇るブローラ川を考えると、これは不自然ではないネーミング。

Webでは少々違った表記がされているものも見られましたが、新設された現クライネリッシュは1967年に設置。旧クライネリッシュは1968年に休止。1969年に旧クライネリッシュはブローラ蒸溜所として再稼働(公式)。

時代的に考えると、旧クライネリッシュ、しかもアイラモルトの不足による、ヘヴィー・ピーテッドバージョンとは言えない製造工程によるものと考えられます。

しかしながら、香味はまさに現在ならピーテッドと呼んでいい内容で、しっかり燻製・煙を感じます。

40%のブレンデッドとしては、デュワーズの上位ボトルと遜色ないモルト配合率を思わせる、麦質の豊富さ。

瓶内酸化の影響もあってか、グレーン由来と思われるゴマっぽい油分はほとんど気にならず、舌上でコーティングされる程度。

これは本当に素晴らしいボトルです。

*写真のグラスは今はなき「HOYAクリスタル」社製。絶妙なカーブを持った飲み口で、繊細なウイスキーには揮発を急がせず、個人的にとても気に入っています。