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ミルトンダフ Miltonduff 1978/1998 (53%, Moon, Horae Solaris, Sherry, 720 Bts.) 1998

タケモトカツヒコ
タケモトカツヒコ

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タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】 93 pts (大きなマイナスポイントがボディの輪郭にあるものの、とても素朴でコクがあり、クリーミーに変化する麦質は素晴らしい。短期間存在したピーテッド・ミルトンダフを具現化した1本。)


【ファースト】:濃く赤みを帯びた琥珀 高貴 開栓直後からオレンジの酸味 決してローズや粘性のある果実感ではない 奥から杏 レーズン チョコレート 植物感あるが、やや瓜系~干したような照り焼きのコクがでた麦の香りと連結 程良い胡麻 時間と共に素晴らしいカスタード 

【ミドル】:ボディは寸胴 やや丸い 時間と共にクリーミー バニラ 燻製されたような、濃厚なタール・フェノール質 白桃  

【フィニッシュ】:鼻抜け・返り共にパワフル モストウィーと比較してもピーティさでは、さほど差がないように感じる シェリー由来の杏・イチゴ・チェリーから、クリーミーに変化する 余韻で燻製された麦  スパイシーさも強めで、最終的に植物(特に茎の感覚)


ミルトンダフ 1978/1998 ムーンインポート Horae Solaris シェリー樽。

おそらく数樽のバッティングで、蒸溜時期的に言うとかなりマニアックな1本。

ミルトンダフがローモンドスティルを持ったのが、1964年。そして1974-75にかけて蒸溜所は改修を行い、特にモストウィーのニーズが減った中、モルティングにおいてミルトンダフとモストウィーが区別なく扱われたのが、1975-1981にかけてと言われています。とてもピーティーです。

Malt Night 5thでピーティーなギリーを出すに当たり、ブローラ、ミルトンダフのピーテッドの双方に登場してもらう必要がありました。

60年代のミルトンダフは、1970半ば-80年前半にかけて日本のウイスキーマニアからただ「原酒」と呼ばれ、かなりの希少性を持って取り扱われた様子。

おそらく本ボトルはごく数樽のヴァッティングだと思います。多少ヴァッティングによってボディの輪郭が緩くなり、樽質のブレが広がりはじめた年代です。

最近飲み始めたドリンカーに向けてお勧めしたいと思うことは、今回はバランタインですが、飲めるうちに美味しいと思ったシングルモルトと、同年代蒸溜と推測される(エイジング年数が表記されています。)ブレンデット(または上位ヴァッティング)の両方を味わってもらいたいと。。。

喫茶店で言えば、ハウスブレンドと、キリマンジャロみたいなものです。

発端となったボトルが、多樽とヴァッティングされるなかどのような役割を果たし、またどんな要素を求められたかが理解できると思います。

当該蒸溜所のハウススタイルを捉えるのには、 これ以上の比較手段はありません。シングルカスク(またはシングルモルト)よりも数樽混合したほうが捉えやすいです。

なかなか言葉で伝わりづらいこのニュアンスめいた部分が、おそらくこの方法によれば最短でピッキングできるようになるのではないかと個人的に思っています。金銭的にも時間的にも、記憶を保持する長さから言っても、これ以上の方法を知りません。

味覚は、記憶が残っているうちに、多くの有用な経験をすることでしか向上しないものなのかもしれません。

多くのボトルを購入して、飲んで、でもあまりの振れ幅の大きさに収拾がつかなかったり、人工的な味に翻弄されて、ただ悶々と時間とお金を費やしている方には是非お勧めしたいです。

グレーンについてインヴァーゴードンが、美味しくて、グレーンとしての理想像を教えてくれると思います。

もしウイスキーを飲む目的が、ただ単に最高に美味しいボトルを隅から隅まで味わいつくそうと言う事ならば、必要なのは、確実に美味しいシングルモルトと、それが含まれるブレンデットのボトルです。

100の講釈よりも、実のあるボトルを飲める環境や場所を探してみて欲しいと願っています。