ハイランドパーク Highlandpark 25yo(53.5%, OB)



HIGHLAND PARK(ハイランドパーク)
1990年代流通品 オフィシャルボトル
750ml 53.5%


【テイスター:くりりん】
評価:★8/10

香り:プルーン、ハニーティー、酸味の少ないダークフルーツのような落ち着いた甘さ、古びたウェアハウス、微かに溜まり醤油。
ほのかに焼きたてのパンのような香ばしさ、徐々にピート由来のスモーキーさが出てきて、充実した香りに。
シェリー感のバランスも良く、一連のフレーバーがしっかりとまとまって、食指をそそられる香りであるが、
この後味わう剛速球のような味わいからすれば、まだこれは物語の序章と言える。

味:スムーズな口当たりだが、すぐにヨーグルトレーズン、チョコレートクッキー、シェリーオークの甘さ、焙煎した麦、ナッツ、
焦がしたバター・・・ほんの少し硫黄を感じた後、ピートスモークとあわせて口の中で力強く広がる。
分厚いボディ、中間は多量のフレーバーの広がりで一気に飲み込まれる。
一般的に好ましいとされるモルトウィスキーにあるフレーバーが一塊になったような味わいが炸裂している、まるで剛速球。
余韻にかけては微かな潮っぽさが上顎に残りつつ、入れたてコーヒーの上品な酸味、ブラックチョコレート、
ピート由来のビターさが残り、非常に長く続く。

まとめ:複雑でかつ力強く、一体となったフレーバー。
しっかりと骨太な酒質でどこか無骨な、職人気質な味わい。
飲みなれた人なら有無を言わさず黙らされる。まさに北の巨人。


【テイスター:ゴーヤー】
評価:★8/10

色合い:オーソドックスな茶系アンバー

香り:落ち着いたシェリー。香ばしさのある甘やかさなんだが、シリアルというよりはピートや樽由来の甘さか。
ドライではない、非常に芳醇​なかおり。時間をおくと樽感、苦みやエグミは出ていない。

味わい:パワフル、楕円形にまとまった力強い香りと味わいが、
一度にドカンと来て駆け抜けていくみたいな説得力と、あとに残される爽快さ。
この味わいをどのように紐解くか?それが問題だ。甘み、旨み、樽​み、熟成み、ごくごく少量の酸味、全体のバランスは良くて。
余韻長いがフィニッシュはクセなくスッと抜ける感じ、変な後味は全く​残らなくて爽やか。乳酸とかクリーミーはあまり感じられない。
自然な甘みはエステリーやモルティというよりは蒸留由来のフェインティ系と、ピート、ウッディ系が強いようだ。
ヘザーハニー、ミツ​ロウ、アカシア蜂蜜、ナッティ、焦げたトフィー、カスタードなどの高密度混合体。美味しいです。
口開けから数日でやたら香り開いて来たけれど、これはまたさらに香りが開くような気がする。
もっと香りを拾えるように再チャレします。


ウィスキーに本格的にはまり始めたころ、都内の酒屋で販売当時の定価で販売されているのを見つけ、購入した1本。
今は無き三鷹BURNSで黒い店長からブラインドで出され、飲んだこと無いのに正解するなど、
自分としてハイランドパークと言えばこれという、思い入れのあるボトルです。

最近バーボン樽で熟成する等、華やかなフルーツ感や麦感を持ったハイランドパークがリリースされており、
それらも旨いボトルではあるのですが・・・やはり”巨人”らしさは薄いように感じてしまいます。

なんとか今も手に入るボトルの中で、ハイランドパークらしさを感じるとしたら、やはりこのボトルを押したい。
限定品で言えば、オンラインテイスティングの1974、伝説のバイセン、このあたりも文句なしでお勧めですが・・・

それにしても、濃厚でいろいろなフレーバーが拾えるため、テイスティングの難しいボトルです。
飲むたびに新しい発見があり、とにかく難しく、そして面白い。