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酒の中身について語る意義


FBに長文コメントをしたので、こちらにも転載させていただきます。


 

よくわかります。

酒の中身について感想を交換し合うという楽しみ方、その方法が、周知されていないということなのかもしれません。

このボトルをどこで、どういうふうなシチュエーションで飲んだのかは、誰でも語るんですが、何で美味しかったのかの理由まで表現する人が少ないです。

カクテルなら、誰々が特別に作ってくれたから美味しいでいいんでしょうが、それでは聞いても「あぁよかったねー」としか言えないというか、一期一会に過ぎて、追体験しようが難しく、上辺のみで、根っこの共感が得づらいです。

そのカクテル風の楽しみ方の延長上でウイスキーを語るというと、出してくれた人へのメッセージにもなってしまい、そこには遠慮・配慮が生まれます。

それはそれでいいじゃないかと思うんですが、それすらしない人が未だ多勢です。

酒にまつわる周囲の状況が楽しいのか、酒本体が楽しいのか、どっちなの?と問えば、おそらく両方と答える方が過半ではないでしょうか?

だったら、同じくらいの優先度で、酒の中身も語ろうよと思うんですけどね。

達観したバーテンダーさんは、飲み手の意見・感想を求めてるものだという記事をご紹介します。バーテンダー60年で、昨日会合ももたれたらしい、稲田春夫さんの記事です。

 

http://bar-navi.suntory.co.jp/contents/interview/200704.html

bar-navi.suntory.co.jp

バーの奥義をBAR経営者が語る人気シリーズ特集です。今回は、東京・銀座 BAR5517(ゴーゴーイチナナ)の稲田春夫 氏、高坂壮一 氏にインタビューしました。

 

本当に実力があったり、心底感動させたいと思っている人は、受け手の意見や方向性を知りたがるものだと思います。

どんな土俵に立とうが、やれる自信や、挑戦する意気があるからです。

出すものが酒なら、酒についての意見を知りたいわけで、自分はいつもどこどこで飲んでます、誰々バーテンダーさんに出してもらってます、最高です!と言われても、それは本人じゃないから完全に成り代わるのは無理ですというものです。

結局どういう香味の方向性が好きか、どういうものを次に飲んでみたいか、どういうものは飲んだことがないのか、言葉に表現するほかありません。または同じ店に通い詰めて、美味しい、そうでないと言うだけの感想を集積して、特定のバーテンダーに伝えることしかありません。

むしろそれをせずに、中身を語らず、諸手を挙げて美味しかっただけでは、その情報は他の人には合致しないことも多々あるわけで、また(中身が語られずに)情報が一人歩きすることを誘発しては、それが正当な評価と言えるでしょうか?

いわゆるパフォーマーや、業界の重鎮とのつながりやら人脈保持を優先する人ばかりが評価を受けることにもなりかねません。

これはウイスキーのボトルでも全く同じです。中身を語らずに、ブランドや、販売店、生産者を諸手を挙げて賞賛しているだけでいいのでしょうか。同じウイスキーについて、いい意見もそうでない意見も、幅広い感想が集積することで、はじめて「客観的な評価」と言えると思います。

もうたくさんのBARに知り合いがいるから、恥ずかしいというのは、自分が大切なだけであって、目の前にいつもおいている酒は2の次という風にも見えるし、誰かが自分を楽しましてくれる空間が好きなんであって、酒はなんでも良いんだとも受け取れます。

まぁ理詰めで、酒の中身を語る必要性を書くとこういうことですが、自分自身を本当に大切にするなら、飲んだときにどういう風な感想を持ったのかを記録して、与えられた日々を大切にすると言うことでも、それは成せるのかなとも思います。後生に現在のウイスキーがどういう存在だったのかを残すということも、素敵なことだろうなと思います。