ウイスキーに使える化学 2月17日版


最近身近で話題になった、化学薬学寄りの小ネタを。


【シェリー樽と、ゴム臭、ヒネ香】

私はシェリー樽熟成品に独特の、ゴム臭、ヒネ香の原因は「硫黄」だと思っています。

硫黄は反応性が強く、アルコールOH基を、チオールSH基に置換します。代表的な物質にメルカプタンがあります。

以前、シェリーは樽(新樽)の中で発酵を行なっていました。発酵終了後、硫黄を燃やして殺菌していたのです。この影響がウイスキーにも及んでしまっていると見ています。

ただ、ウイスキー熟成用のシェリー樽が欲しいという場合、この硫黄処理をキャンセルするケースがその昔からあり、またここ最近増えているようです。

ボトラーは自前で用意した樽への詰替えを行うことも多々あるのでしょう。特にG&Mのシェリー樽は、ある意味伝統的なシェリー樽だったといえると思います。


【ボトルの液面について】

ウイスキーのボトルでも、気温によって液面は上下します。

おそらく50-60度の高度数タイプで、一般のトール瓶ネック部分であれば5mmから1cm動いても不思議はなさそうです。

それもそのはず、1650年頃、初めて発明された温度計は「アルコール」を用いたものでした。

現在も灯油に赤で着色した温度計はよくみかけます。


【酔うとは? 酒に強くなるとは? 】【ウィキペディア改】

体内ではアルコールを貯蔵する仕組みがないので、(肝臓の代謝量以内であれば)その90%以上は速やかに肝臓で代謝される(肝臓の代謝量を超えた分は血中エタノール濃度を上昇させる)

代謝の中間に発生するアセトアルデヒドは分子中に持つアルデヒド基がタンパク質の側鎖などのアミノ基と強い反応性を有するため、エタノール以上に毒性が高く、頭痛や悪心などを引き起こし、いわゆる二日酔い・悪酔い状態の原因となる。ちなみに「二日酔いに迎え酒が良い」といわれるのは、追加されたエタノールが頭部の血管を拡張させたり、酩酊期のアルコールが痛覚を麻痺させることにより緩和されているのであり、アセトアルデヒドを解毒しているわけではないので治療的な意味はない。

また、恒常的な飲酒により、【肝臓にて】薬物代謝酵素CYP(【チトクロム】P450)が多量に誘導されると、CYP酵素がエタノールを分解するようになる。CYPは(アセトアルデヒドを含めて)エタノールを水と二酸化炭素へ直接分解するため、多少の量のアルコールでは全く酔わなく(むしろ酔えなく)なる。

この状態になると、麻酔を含め殆ど全ての種類の薬物に関してCYPが作用するために、薬物が非常に効きにくい体質が形成される。CYPが誘導されるころにはアルコール要求量が急速に増大し「酒に強くなったと錯覚する」。

酔いには、エタノールによる脳の麻痺と、体内でのエタノール分解の過程で生じるアセトアルデヒドの毒性による酔いとの、二種類がある。

以下に、エタノールによる脳の麻痺による酔いを説明する。

アルコールによる酔いは、エタノールの血中濃度に比例する。しかし同じ量を同じペースで飲んでも、酔う程度は人により異なる。これは同じ量のエタノールを摂取しても、エタノールの血中濃度は各人が持っている体液の量(体液の量が多いと同じ量のエタノールを摂取しても血中濃度は低くなる)により変わってくること、および、アルコール脱水素酵素の活性度にはアセトアルデヒド脱水素酵素(アルデヒド脱水素酵素)と同じように3種類の遺伝子多型があり、エタノールの分解速度が異なるためである。

アルコール脱水素酵素の活性度は酵素誘導により増減する酵素の絶対量のほかにも、遺伝による酵素タイプの違い(体質)によって変わる。

そもそもエタノールによる「酔い」の本態は、中枢神経系の抑制が原因である。中枢抑制作用を持つ麻酔とは異なり、エタノールの場合、早期には(低レベルの血中濃度では)抑制系神経に対して神経抑制効果が掛かるために結果として興奮が助長される(アルコール作用の発揚期)。 血中濃度が上昇するにつれて、運動器や意識を司る神経系にも抑制が掛かり、運動の反射時間の延長や刺激への無反応を生じる(アルコール作用の酩酊期)。