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塔の上のラプンツェルが素晴らしすぎる

http://www.disney.co.jp/movies/tounoue/

塔の上のラプンツェル…

公開日が震災の翌日だったこともあって、キャンペーンも縮小されてしまったのでしょうが、本作品は「素晴らしい」の一言。ディズニー映画50作目にふさわしい、集大成と言えるシナリオだったと思います。

3D対応で言えば、前回のトロンでは一部分に補正的・実験的扱いだったものが、「塔の上のラプンツェル」では終始、重要な役割を果たしていて、スクリーンに映し出されている空間を、リアルに実感出来る仕上がりでした。

更に素晴らしいと思ったのが、原本のグリム童話の設定にこだわることなく、練りこまれたシナリオと美意識の高さです。

今、日本を取り巻く状況の下だからこそ、意味ある作品だと思いました。

 

 

 

 

以下ネタバレありですが、印象的なシーンについて。

公開から1ヶ月経過しましたので、ストーリーについて、私自ら「素晴らしいと」思ったシーンを挙げさせていただこうと思います。

・まず第一に、クライマックス部分。

男性主人公である「ライダー」が刺され、瀕死でありながらも、傷を癒す力をもつラプンツェルの髪を切り落とし、おばあさんから救ったシーン。これは自己犠牲の精神ですから、従来もよく語られていた話だと思います。しかし、特殊能力を秘めたラプンツェルの髪が、ライダーにとっては必ずしも「彼女の魅力の一つではない」ということの現れだとも言えるでしょう。

さらに髪を失ったラプンツェルは、瀕死のライダーへ、精一杯の気持ちを注ぎます。するとライダーの傷は「髪を持っていた」ときと同様に癒えます。

大事なことは、特殊能力ではなく、人を心から思いやる気持ちであるのでしょう。

・18年間塔に閉じ込められていたラプンツェルの夢が実現するとき、出会った悪党集団は皆、自信と夢を思い出します。

中に片腕がフックになっている悪党の1人が、ピアニストになる夢を実現します。これはどんなに障害があっても、実現できない夢はないというメッセージでしょう。

また他の元の悪党たちも、更正し、他の住民の輪に加わります。

・登場した白馬にラプンツェルは、とても優しく、苦労をねぎらいます。

白馬はそれ以降、ラプンツェルに報いるため、精一杯活躍します。

・18年間会っていない国王、王女との再会

一言の疑問を発することなく、ラプンツェルを受け入れ、再会を喜びます。

純粋に信じること、夢、偏見なく受け入れること、改心、ねぎらい、恩へ報いること、そして努力

これらはきっとディズニーが従来から一貫して伝えたいテーマであることでしょう。

どれも道徳的観点であると思います。私のような全くの無信仰な人間にもそれらは貴重な心の持ちようだと思えます。

そして今作には、「特殊な能力」を持っていることや「他の人にはあって、自分には無いもの」というは、さして重要なことではなく、もっと大事なことは、真剣に相手を思いやる気持ちや努力なのだという価値観が、加わっています。

従来の王道ディズニー哲学を総復習できただけではなく、新しい価値観が加わり、さらにストーリーを通して、全く中だるみのような部分なく、駆け抜ける躍動感は、やはり「素晴らしい」の一言です。

ウイスキーで言えば、蒸溜所のバウススタイルがふんだんに再確認できながら、新しい面も兼ね備えているという至高の1本だと言えるでしょう。

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