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ロングモーン Longmorn 18yo 1971 (58.1%, Sestante for Antica Casa Marchesi Spinola)

タケモトカツヒコ


タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】97 pts


アンティカ カーサのロングモーン1971。

昨年9月に開栓して飲み通してきましたので、今回は文章で書いてみます。


コレクションNo.はミルトンダフも1番でしたので、このシリーズが当初、各蒸溜所毎にナンバリングをしようという壮大なコレクション計画だったことを思わせます。

とても高貴なシェリー樽由来の香味が際立ち、その奥から”でんぷん質”豊富な麦質と、その周囲には率直に「ベンリアック」じゃないのかと思わせるほど、白色がかった桃、黄色味のあるパパイア、マンゴーが沸き上がって来ます。これが薄かったり、組み直しの樽だとワクシーさが際立つと思うのですが、そこが濃いシェリーによって程よく抑えられている印象。


その樽質は圧巻で、例えるとG&M往年のストラスアイラが詰まっていたようなタイプです。

フェノール、タール、レザーなどの要素ではなく、重さに繋がるオイリーさは”巨峰系のブドウ香味”と融合していて、嚥下しても7,8割の部分までは「ザ・シェリー」という時間帯。

そこを超えた瞬間「南国フレーバー」が一気に盛り上がって全体を席巻、余韻に至ると、「あれ?ボウモア60年代飲んでたっけ?」という感覚です。


いわゆるロングモーン的、赤みを帯びた桃、チェリーが合わさったトロピカル~エキゾチック方向ではなく、ボウモア、ベンリアックを彷彿とさせる、白色+黄色系果実が満載。

あえて難をつけるとしたら、濃厚なシェリーによってボディが覆い尽くされ、間違いなく香味で存在を確認できる芋系麦質をもっと十分に堪能できたらという部分。ボディに厚みはあるものの、膨らみは濃厚シェリー樽によって抑えられているかのイメージでした。

本ボトルも1971年蒸溜1990詰めですが、同じシェリーでもSMWSのマガジン68やここ数年のリリースを考えると、樽のクオリティ(濃度含めて)はそれぞれに大きく違いがあり、おそらく各ボトラーが手持ちの樽へ詰め替え、その一体感から後熟成期間も十分にとってのリリースであったことを思わせます。

さらに瓶内熟成期間がやはり良い方向へ円熟味を増してくれたようです。

ロングモーンと書いていながらベンリアックだった説を提唱してみたくなる内容。。。

似たタイプが思いつかず、これまでロングモーン、ベンリアックを追ってきた人にこそ飲んでいただきたいと思ってしまいます。

間違いなく奇跡の領域に足を踏み込んでいる1本。

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