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マッカラン Macallan 1962 (80°proof, OB, Campbell, Hope & King, Rinaldi Italy)

タケモトカツヒコ
タケモトカツヒコ

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タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】95pts


【ファースト】:やや濃い琥珀 ディスクが厚く、琥珀-厚い透明層 高貴 レーズン(++) 赤みを帯びたドライフルーツ 赤肉メロン(++) 濃厚なカシス(+) なめし革 深みのある(ややフェノール濃度の高い)レザー(++) 時間と共に燻製感が増し、ピーティーな印象(++) 焦げている麦(+) 奥から木苺(+) 酸味の少ないオレンジ

【ミドル】:ボディが分厚い(++) 舌上に漂う 据えた感覚 酸味の少ない梅の皮 焦げた麦感 湿った木材 この年代独特の、魅力的な渋みがある 焦げた麦 燻製感がフィニッシュにかけて増す(++) 香木 ナッツ 生姜 かすかにレモン

【フィニッシュ】:返り、鼻抜け共に素晴らしい 風味(喉から鼻)は燻製された麦 杏 レーズン 余韻ではブラックペッパーとイチジク 角が立たず、輪郭は丸いが、芯がしっかりしている 時間と共にクリーミーに変化


マッカラン1962。80プルーフ。

2月に開栓しておよそ4ヶ月、ゆっくり時間をかけて向きあってみました。

14~15年熟成であると推測され、表面ラベルの右肩に蒸溜年のエンボスがあるのは、本ボトルまで。

スコットランドで燃料危機が発生し、最も過酷だったのが1962年と言われ、リリース本数も少ないようです。周辺蒸溜年OBと比較しても、ピーティーさが際立っています。

1965-1975にかけてスチルが6から21まで増やされた過程で、マッカランは何かを失ったとされていますが、おそらくは60年代前半から66年頃まで、しっかり捉えることが出来る「赤肉メロン」のようなフレーバーのことではないかと思います。60年代半ばまでのロングモーンにも感じられる(ロングモーンはややチェリー寄りか?)要素です。

60年代半ばから後半にかけては、イチゴのような要素に変化して、その差はわずかですが、ボウモアの南国感がパパイア・マンゴーからグレープフルーツ・パイナップルに変遷していった程度の「差」はしっかり感じ取ることが出来ると思います。

本ボトルは、比較の結果とも言えますが、ブローラ72やクライネリッシュ・ホワイトラベルを思い起こさせる、強いピーティーな麦とかなり深みのあるレザー感、そして果実的な要素が見事なレイヤーを形作っていて、純マッカランスタイル+αを味わえるという意味で、非常に貴重なオフィシャル・ヴィンテージであると考えます。

1950年前後に大麦はアーチャー種から、ゼファー種に切り替わり、1960年代後半からゴールデンプロミスを採用したという歴史であるわけですが、同じゼファー種であっても、個人的には直近飲むことができた1957年蒸溜と、1960年蒸溜、本1962年蒸溜を比較してみると、麦感・ボディにおいても差があるように思います。

共に芯がしっかりしていることは同一ですが、57では重さが、62年では厚さが際立っているのです。

どうもこの間、徐々に厚みが増していき、1960年を境に奥からオレンジの支えが強く感じ取れるようになるようです。

当時の嗜好に基づくヴァッティングの方向性の違いなのかもしれませんが、1960年のボトルでは、ボディは重さと厚みが共存し、味や香りの輪郭が捉えやすくなってはいるものの、まだ華やかというよりは骨太な印象で、荒々しい印象でバランスされているように思いました。


【参考】

マッカラン Macallan-Glenlivet 10yo (70 Proof, G&M Licensed White and Red Label, Matured in Sherry Wood, 1960′s)

マッカランMacallan 17yo 1966 (43%, OB, Giovinetti Import, plastic screw cap with nozzle, 75cl) “Single Highland Malt Scotch Whisky”

マッカラン Macallan 18yo 1968/1986 (43%, OB, Giovinetti Import)

 

【マッカランOB:簡易テイスティングノート】

1963
f  濃い琥珀  レザー  杏 火薬  硫黄  バームクーヘン  蜂蜜  バニラ  炭   外に出て来る
レーズン   墨汁

1964
f  若干奥にこもる  炭 っぽさは1963と比較して弱い   巨峰   弱めにナッツ  酸味はアセロラ寄り  琵琶   アップルパイ  ダームラム  ブランデー  バニラ  オレンジ

1968
f  奥にこもる  動物的脂肪酸   生ハム  豚の燻製  ヨード  岩塩  多少のゴルゴンゾーラ  時間が立つと上品になってきた  麦感豊富

1971
f  桃のかんずめ  黄色  プルーン  一番色が濃い  ホットケーキミックス  プリンのキャラメル  焦がし砂糖   べっこう飴  オレンジなし  ミカンというよりはブドウ

1974
f  花っぽい  軽いキンモクセイ   ツツジのように蜜っぽい  アカシア  とっても華やかな(一番華やか)  蜂蜜   奥に墨汁  アルコール   緑色のメロン  ジューシーなメロン  干し柿
m  ボディの線は細いが  エッジが立っている

1977
f  チーズ    スナック菓子  グラタン   チーズ   枝豆   時間が経ったら、パン  マドレーヌ   スポンジ  オイリー   エッグ  生玉子  金平糖  スミレ  ほうじ茶

1980
f  チーズっぽすぎないチーズケーキ  クリームブリュレ  オレンジの皮