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クライネリッシュ Clynelish 12yo (57%, G&M, +-/1980-1985, 75cl)

タケモトカツヒコ
タケモトカツヒコ
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タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】BAR飲みのため非公開


【ファースト】:当初酸味が豊富な印象  時間と共にリンゴの酸味と甘みの融合した香りに変化 蜂蜜 杏 プルーン ブルーベリー(+) レザー感

【ミドル】:しっかりとしたボディ(+) 巨峰~種なしブドウのフレーバーが前面に 麦感は遅れて感じられる 焦げた麦 燻製感も ややオイリー 植物感は葉~茎のイメージ

【フィニッシュ】:返り、鼻抜け共にしっかり(+) やはりブルーベリージャム(+) かき氷のいちごシロップ(+) オイリー 杏 ザラメ砂糖(苦味のある燻製されたような甘さ) 穀物感とアンゴスチュラ・ビターズの苦味


G&Mがクライネリッシュからライセンスを受けて1980年代初期~半ばにボトリングされた、57度(当時で言うフル”100”プルーフ)のバイカラーラベル。

1970年代初期にジャッコーネ向け、半ばから後半にオフィシャル、1980年代からG&Mの57度・40度・43度詰めがリリースされています。

特に70年代後半のボトルにはコニカルネック仕様があったり、80年代半ば以降にはセスタンテ向けが登場したり、英国の他イタリア・ドイツ・ベルギーなど各国向けのリリースが確認されています。


本ボトルはシェリー感がしっかり前面に出ていて、しかもそれがオイリーではあるもののべたつく感じではなく、やはり燻製されたシリアル感があって、オールドスタイルのクライネリッシュを連想させます。


いわゆる1969年に「ブローラ」として1983年まで(実は1984年の短期間も)操業していた蒸溜施設は、それ以前のクライネリッシュ蒸溜所の施設であるわけですが、ブローラと名乗ってシングルモルトとしてボトラーからリリースされるのは1990年代以降の話で(一部グレンブローラというブレンデッドに名前が使 われたことがあります)、それまではオフィシャルとしてのシングルモルトリリースは一貫してクライネリッシュ名であります。

そのため区別が非常にややこしく、特に海外では このブローラ時代も含めて古い蒸留施設で生産されたものは「オールド・クライネリッシュ」と呼ばれています。


1969-1983(4)までの旧蒸溜施設生産品を切り取ると「ブローラ」、1967年の8月から操業された新しい蒸溜施設によるものは「ニュー・クライネリッシュ」と呼ばれます。


その中で、本ボトル(G&Mバイカラー)が占める歴史的意義は、「オールド・クライネリッシュ12年」のラベルをそのまま引き継いだ(ライセンスを受けた)ことにあると個人的には思います。

加水ボトリングが登場したり、オレンジ部分が黄色になったりと多少のブレがあるものの、コレクターの間ではこのラベルのリリースは「オールド・クライネリッシュ」12年であるとして評価されているようです。

実のところ中身の新旧についてはよくわかっていません。


クライネリッシュ・ブローラほど、そのボトリングの把握が難しい蒸溜所もないかなと思いますが、幅広く商売を広げて素晴らしく評価されているのはさすがというほかありません。

ブラック&ホワイトの原酒供給と並行して、舌を出し羽の生えたホワイトライオン(赤で印刷される事が多いもののオフィシャル回答はホワイトライオン)が登 場するロイヤルエジンバラ、キングスリカー、マウンテンデュー、キングウィリアムⅣ、リアルマクダビッシュなどブレンド採用銘柄も多数あります。

その昔、「グレンリベット」の名を前面に出した「ブレンドオブグレンリベット」という銘柄もリリースしていました。

満州国向け(キクヤデパート向け)にもホワイトライオンラベルで「ANSLIE’S CLUB WHISKY」を供給していた記録があります。

そんなマニア心をくすぐられるエピソードも豊富で、実に興味深い蒸溜所です。