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リンクウッド Linkwood-Glenlivet 1956/1979 (80proof, 26 2/3 FL.Oz. Cadenhead Black dumpy bottle, 75CL)

 

タケモトカツヒコ

[opentasting]


タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】 90 pts


【ファースト】:やや明るい琥珀 黄色味のある果実 レモン、グレープフルーツの厚みのある皮(+) 甘さ控えめの蜂蜜(+) すりおろした生姜の酸 やや据えていて、百合やバラのような花の香り 奥から燻されたミネラル分 滝にある岩(水に濡れた岩の香り) 

【ミドル】:ボディはしっかり膨らみ舌上でボトムが強い(+) 干した麦感 口に含むと酸味豊富でフィニッシュに繋がる やはり花っぽい ローズヒップティーを飲んだ時の口腔内コーティングだが、味覚イメージは(赤ではなく)黄色

【フィニッシュ】:返り優先 鼻抜けは穏やか やはり軽くくすんだピーティーさがある 時間とともにバニラ、カスタード、ミルキーに変化(+) スパイス豊富(黒胡椒) ピリピリした余韻が終わるとクリーミーな干した麦感が継続 


黒ケイデンのリンクウッド1956。

12~13年程度の熟成年数。

リンクウッドは個人的に大好きで、オード共ども以前から良い樽に巡り合えたなら即詰めしたいと思っている蒸溜所です。

イベント初期にも市場評価は決して高くないセスタンテの14年リンクウッドを出させてもらい、加えて大絶賛した思い出があります。そちらは60%超の度数に、濃い目のシェリー樽、香木的な香りが印象的でした。

この蒸溜所もスペイサイダー(スペイサイド好き)の琴線に触れる何かがあります。


90年代以降、評価が地味な感覚がありますが、その理由はやはり蒸溜所の改修によるものであると思われ、1962年に大規模改修、1971年には2基のスティルが増設されて合計4基になった経緯がありました。

従来からあった2基のスティルは「リンクウッドA」、71年に増設された2基のスティルは「リンクウッドB」と呼ばれていて、香味の面でもAはBに比べてやや「ヘビー」であると言われます。

1985年に一旦Aのスティルを閉じたものの、1990年以降、年間数ヶ月のみ継続して用いられている模様です。


本ボトルは1956年蒸留の短期熟成ボトルで、61年の蒸溜所改修前、リンクウッドAのスティルのみで生産されたものと思われます。

また、ラベル中央にジョン・マキュワンの表記があることから、同社のアボット・チョイス、チェッカーズ等のブレンデッド用に樽供給されたものを、ケイデンヘッド社がボトリングしたとも推察できます。


確かなピーティーさ(ややくすんでいるようにも感じます)を持ちながら、黄色味と酸味を持った果実感があり、リンクウッドの大きな魅力である「花のような」「ローズヒップティー」にもあるようなコーティングが特徴的。

かつてウォレス・ミルロイ氏が80年代後半、自著で「入手できる最上のモルトのひとつ」であると評したリンクウッド。

ロッシー川の最下流に位置し、秘密の自然保護区なのかと評された環境で、生産するウイスキーに影響を与えるからと、当時はクモの巣を取り払うことすら禁じていたようです。


これからも魅力あるボトリングを期待したい素晴らしい蒸溜所ですね。