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オールドプルトニー Old Pulteney 18yo 1970/1988 (56%, G&M for Sestante, 75cl) High Proof

 

タケモトカツヒコ

[opentasting]


タケモトカツヒコ (プロフィール


【スコア】98 pts


ボトル最終盤

【ファースト】:やや濃い琥珀 レザー(+) オイリー(+) リンゴ飴(++) アルコール感十分(分離せず) 香木(++) 八つ橋 杏(+) 据えた香り(++) 乾いた木材 上面発香勢い凄い 時間とともにカスタード 麦質豊富(++) ごく軽い炭酸要素

【ミドル】:ボディは厚い(++) シルキー フェノール 肉の燻製 時間とともにカスタード イチゴジャム(+) キャラメル 栗  生姜 

【フィニッシュ】:返り、鼻抜け共に勢い(++)が素晴らしいが尖っていない 余韻にフェノール タール(むしろアードベッグを思わせる) リンゴ 照り焼きされた麦パン 少々のスパイス感もあるものの、厚みがあり、鋭角なわけではない 余韻はピーティ(燻製>煙 ヨードはあまり感じない) 軽く最後にアーシーさ(土っぽさ) 甘草 酸味


個人的に(プルトニーのなかで)不動のNo.1ボトルです。開栓から半年以上が経ち、今回1本通じて接することができました。

これほどの名ボトルにも関わらず、珍しく海外評価が上がっていないので、(BARで飲むにしても)市場価格的に恵まれた1本だと思います。


90年代蒸留も素晴らしいプルトニー蒸溜所ですが、本ボトルとはかなりテクスチャが違う感じです。

まず特徴は「嚥下時のボディ」にあって、とにかく分厚く丸みがあり、シルキーな印象を受けます。開栓当初は「香木」感と、「シェリー由来の要素」で全体が覆われているのですが、徐々にそれらの部分が抜けてくると、一転して明らかに「ピーティ」さが前面に台頭してきて、近年のハウススタイルとは違う新鮮な驚きがありました。


やはり麦の品種(でんぷん質量)によるものなのか、18年熟成にしてこの「厚み」という部分では他に群を抜いており、ボトル終盤においても一貫して変わることがなく推移していて、どうも単純にシェリー樽による追加要素ではなさそうだなと、これは麦自体の膨らみそのものに差があるのかなと感じます。

フルーティーさという部分では、90年代蒸留は「黄色い」果実味ですが、本ボトルはより「赤み」を帯びた印象で、こちらはむしろシェリー樽由来によるものと考えるべきかもしれません。

(いかようにも変化する)エステル質が元から豊富なことは間違いないところでしょう。


またアルコール度数がかなりありますが、これが決して「分離」しておらず、「厚みがありつつ丸いテクスチャ」へと融合しています。

最近思うのですが、シェリー樽の魅力の一つは、バーボン樽に比べても刺々しくなることなく、20年前後の熟成であっても、「若さ(力強さ)」を保ちつつ、「アルコールと他成分のまとまり」「融合したテクスチャ」へと発展が望めるという点にあるのではないかなと。

決してファーストフィルのような「どシェリー」でなくても、樽の木材が十分に健康であれば、本ボトルのような進化が可能なことが何よりの利点だと思います。



特に「夏」はアルコールが単純に強いだけで、熟成感のない酒は辛いなと。加水でもなんでもいいから円熟味が魅力的な今日この頃です。



100点まで2点置いたのは、突出した個性が「香木」質の他にもあればという点と、もしかしたら、このまま開栓せずにあと2,3年(瓶内変化)置いておいたとしたら、とてつもなくすごいボトルになるのではないかという期待によります。

上手く表現できませんが、もしかしたら、開栓~中盤で「ピート+ガラナ+炭酸」、いわばピート+コーラの時期が生まれるんじゃないかという気がしてなりません。ダンイーダンのブラドノックがより厚く、生薬的、生姜要素が乗った質感へと発展するのではないかと、そんな気がします。